遺言と異なる遺産分割
2026年07月30日
今回は、遺言絡みの話です。
さて、遺言において遺言執行者が指定されていた場合、遺言執行者が遺言どおりに執行することになります。遺言執行者は、「遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」ので(1012条1項)、当然と言えます。
もっとも、それだと困ることが無きにしもあらずで。
例えば、お父様が、自宅の土地建物をそれはそれは大事にしておりましたと。
先代から受け継いだ、狭いながらも楽しい我が家、築50年の物件。
遺言では、長男と次男で1/2ずつの持分で相続すること、と定められていました。長男と次男の共有物件になります。
さて、長男も次男も既に別の場所に住んでおり、それぞれの家庭を持っています。簡単に自宅に住めるものではない。
いや、いらないよ、、、、と。
他方で、もう一人の法定相続人の長女がいるのですが、こちらは一人暮らしで、自宅に引っ越して住むのもアリだと。
ではどうするか、というと、遺言とは異なる遺産分割を検討することになります。
この点については、相続人全員の同意があれば認められるとされています(最高裁平成12年9月7日付判決など。)。当事者の意思に合致しておりますので、まあそうでしょう。
ただ、本件のように遺言執行者が就任している場合は注意が必要です。民法1013条1項は、「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない」、2項では「前項の規定に違反してした行為は、無効とする(以下略)」と定められているからです。
遺言と異なる遺産分割は、遺言執行者の行為を妨げることになるので、無効になるということです。
では絶対にダメなのかというとそうではなく、遺言執行者の同意があれば合意自体は有効となります。
仮に遺言執行者が同意しなかったら、という懸念はありますが、例えば長男次男が相続した後に、長男次男から長女へ自宅を贈与若しくは売却する新たな合意をする、という処理もあるのでしょう。
ただ、税金は大変そうですね。
相続人全員の総意に対して遺言執行者が同意しない、という場面は多くはないと思いますが、いずれにせよ遺言執行者と協議することが重要ということになります。
カテゴリー: 相続