頼んだ仕事が止まった
2025年12月26日
一言で「契約」といっても、様々な種類があります。
例えば、自動車を売り買いする売買契約と、必死の思いで10万円を借りる金銭消費貸借契約とはだいぶ違うわけです。
そして、世には「業務委託契約」というタイトルの契約がたくさんありますが、これもだいぶ幅が広い概念であります。
ごく大まかに分類すると、1つは、アドバイザリー契約のように、きっちりとした完成形や終了時期が決まっているわけではないもの。もう1つが、建築やホームページ作成のように、依頼内容の「完成」を求めるので、後者については「請負」に近い類型であると言われております。
この請負タイプの業務委託契約は、比較的、紛争のタネが多いという印象です。
発注者の注文が過剰だったり、何を頼んでるのか分からなかったり、お金の周りが悪くて何だかんだと代金を支払わなかったり。逆に、受注側の仕事が遅かったり、下請けが途中で逃げちゃったり、と。
それゆえ、仕事の途中でトラブって頓挫し、中途半端な出来上がりのままになることも非常に多いのです。
この点については、民法が近時改正されまして、「次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。」と定められました(634条1項)。
要は出来高で解決するということであり、改正前でも同様の結論になることが多かったところ、法律で明文化されたということです。
これ自体は、常識感にもフィットすると思います。
ただ、これで万事解決というわけではなく、まずは出来高がどの程度か、ということ。
建築なら比較的イメージしやすいですが、例えばホームページ作成という内容の場合、その途中で止まった作業は、割合として何%なのでしょうか。
それ以外にも、「そもそも発注したのか」「発注者の了解を得たのか」「単価が高すぎ」「発注者と現場の下請業者さんがその場のノリで工事変更した」など、色々と問題が発生するのです。
この点、建物の建築工事の場合は、業界の契約書雛形がしっかりしていますし、大手であればあるほど、会議をしっかりやって議事録も作成し、施主にも連絡確認を取るので(それでも紛争は起きますが)、まだ、予防ができています。
ただ、受注者がそこまで大会社ではなく、必死で仕事を請け負って頑張っている業者さんだと、記録保持にそこまで手が回らなかったり、納期がタイトだったり、発注者の要求が厳しかったりなど、胃が痛くなるケースもしばしば。
まずは、とにかく何でもいいから記録を取ること、これは絶対に必要です。
最近は紙やメールではなくLINEなどでやり取りすることも多いですが、議事録が取れないのであれば、最低限デジタルの記録は保存すること。口頭で進んでしまうこともあるでしょうが、その場合はスマホのアプリでもいいから録音すること。
そして、その後のやりとりの整理も非常に面倒なので、ちょっとでもモメそうだな、と思ったら、その段階で整理を始めることがポイント。事態が動かなくなった段階で、一から整理の作業をすることは非常にしんどいです。
AIもどんどん進化していますが、それでも、ポイントをついた整理にはまだまだ人の記憶と作業が必須。
面倒でも早めにやるのがいちばんの予防策なのであります。
ということで、良いお年をお迎えください。
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