不貞行為と懲戒
2025年11月28日
弁護士懲戒シリーズ、今回は、自由と正義2025年9月号で公表されていた事案です。
事案はシンプル。被懲戒者はAから離婚訴訟事件を受任していたのですが、その最中にAと関係を持ってしまい、さらに、Aと配偶者との間の別件訴訟の対応もした、というものです。この、Aの配偶者が懲戒請求者です。修羅場。
時々、依頼者とそういう関係になることは無いのか、と聞かれることがあります。統計が取れるわけもないのですが、現にこうやって表沙汰になっているので、あるのでしょう。
こういうケースは、やはり品位を害するのでしょうね。
離婚事件の渦中にいる方は、精神状態が不安定なこともあり、そこに関与するのはどうなの、ということもありますし、不貞行為は離婚事件の帰趨にモロに影響しますので、懲戒するという本件の判断は適当だと思います。
なのですが、考え出すと意外と難しいところもあります。
例えば、普通のというか、弁護士が単に私生活で不貞行為をしたら懲戒相当になるのか。
確かに配偶者に対しては損害賠償責任を負うことになりますが、不貞行為自体は犯罪ではない。1回こっきりでもダメなのか、風俗はどうなのか。どこぞの市長さんみたいに、会議のために2人きりになったら。
仮に離婚事件の当事者との不貞だとしても、「夫が20年行方不明なんですよ」という場合でもダメなのか。
人生観にも関わるところもありますし、類型化(懲戒になるかならないかの明確化)も難しく、正解はないのでしょうが、ともあれ、ちょっとでも危うさがあったら止めるべきなのでしょう。
なお、よく、懲戒は、職務に関連する事項だけ、と誤解されることもあるのですが、弁護士法上、「職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたとき」と書かれていますので、職務外の行為でも懲戒対象にはなります。
職務外の方が、弁護士の品位とは関係ないことが多いでしょうが、注意が必要です。
*事案の概要は、自由と正義を参考に筆者が作成しました。
カテゴリー: 懲戒処分